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下町労働運動史 66

2017/02/04
下町ユニオンニュース 2017年2月号より

戦前の下町労働運動史 その29
                                        小畑精武
地下鉄争議・もぐらのうた・下
 一九三一年一二月の組合結成以降、便所がないなど切実な問題をかかえた女性たちは、
「給料を男子並みの最低一円一五銭、便所を各駅に、出札手当三円、生理休一週間、事務服夏冬二着」など要求を討議、カムフラージュに三味線をつまびいたそうです。三二年三月一二日には駅員、一五日には車掌、運転手のストライキ準備委員を選出、要求討議を終了します。

 スト決行!車庫占拠へ
ストライキの方針討議は郊外のある家で行われ、全協永田オルグはじめ、市電、国鉄などのオルグも参加しました。全協系労組の指導は非合法の共産党です。車庫の出入り口を車両で封鎖する戦術を討議するなど秘密裏にきめ細かい準備が進められました。
「ストライキの場所として車庫を占領する、スト費用として三日分を集め一週間から一〇日の決死的闘争を頑張る、闘争日誌を発行して全員の意見を反映させる、応援委員会をつくる、未組織へのビラまき、家族を引き込む、食料品の買い込み、無産者診療所との連絡、弁護団との連絡、市民へのゲキ、警備隊の編成、電気、掃除、変電所などへの闘争拡大」などを討議決定します。
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スト決行日が一九日と決まり、車庫占拠へ電車を地下から地上車庫へ出る所に止め、食料品を積み込みます。車両は全部で四両。一両車が闘争車、二両車が女子部、三両車が中央部(各専門部、食料部)、四両車が休憩車です。
二〇日午前一時半にすべての準備が整い、全従業員大会が開かれました。争議団の結成が宣言され、団長(男子津野勇)副団長(女子赤塚正子)を選出。自衛団長、五班の班長を決め、警備を車に配置し、大会では要求が確認されていきます。午前二時に嘆願書としてまとめた要求書を運輸課へ提出しました。しかし、監督がいたものの電話が通じないので、午前五時ごろに再開を約束して交渉委員は引上げます。

 籠城電車内は解放区
二〇日午前六時の始発から浅草・神田間の電車はストップ。ストには「俺たちにも不満があるんだ」と電気や清掃から新たな参加者が加わります。電車の先頭には赤旗が立ち、青い美しい早春の夜明けの空に、労働者のたたかいの旗が上がりました。
籠城電車のなかは解放区のように、メーデー歌、団結のうた、赤旗のうたと、何でも自由です。踏切には人垣ができ、その中にはカンパをしてくれる労働者がいました。
二一日の新聞はいっせいに「突然の争議に会社大狼狽、全車両は車庫に缶詰、手の下しようがない」と「地下鉄罷業」を取り上げます。警官も増え八〇人余に。会社は何とか電車を動かそうとしましたが、思うようにいきません。

 組合大勝利!一か月後に大弾圧
電車のなかで交渉が始まります。警視庁の調停課長や地元警察署長などが立会い交渉は三回ほど行われました。会社は「出征兵士に軍隊から支給される金額を引いた給料全額を支給する」など譲歩をしてきます。しかし、組合員の団結は固く、女子の生理休暇」など未解決のまま交渉は決裂。二三日には会社は巻き上げ機を使って籠城電車を強引に引っ張り上げようとします。争議団はバット、木刀などで必死に抵抗し、にらみ合いになります。やがてみぞれが降ってきました。
二三日夜警視庁のあっ旋が入り、会社は大譲歩をします。「上野駅に便所を設ける、女子出札手当二円、トンネル手当二円」など二一の解決条件を示し、七人の交渉委員は電車に持ち帰ります。「万歳、万歳」の声が籠城電車の天井をゆるがし、労働者の大勝利に終わりました。
しかし、一か月後に闘争の中心を担った男女四六人が官憲によって逮捕され、組織はたちまち崩壊してしまいました。
 参考にした「もぐらのうた‐1932年東京地下鉄争議記録集」(学習の友社一九八七年)は当事者による貴重な記録集です
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【知っておこう①】

2017/01/01
下町ユニオンニュース 2017年1月号より

通算5年を超える有期雇用契約の無期雇用への転換権(労働契約法18条)とユニオンの役割

◇同一使用者との間の有期労働契約を更新して通算5年の規約期間を超えると、無期契約転換の申し込みができます。労働者が申し込みをすれば使用者はそれを承諾したものとみなされます。ただし、無期雇用への転換後の労働条件は、有期雇用契約と同一の労働条件が原則とされています。
◇2013年4月1日以降に締結した有期雇用契約から計算しますので、1年を越える雇用契約以外は2018年4月以降の契約更新時に権利行使できるようになります。
◇あくまで労働者からの申し込みによるものであり、5年を超えれば自動的に無期転換されるわけではありません。
◇雇用契約期間が無期になるだけで、待遇が「正社員」と同じになるわけでもありません。
◇経営者によっては無期転換をさせないため、5年になる前に雇い止めしようとしてきます。この契約で更新せず終了するとした「不更新条項」を入れた契約書にサインを迫ることなどが考えられます。これには、労働者本人が今回なぜ不更新条項を入れたのか聞き、録音すること、サインをした直後にメールなどで更新しないことには納得がいかない旨を出しておくことが大事です。そしてユニオンの団体交渉で、労働契約法19条(=「雇い止め法理」の法定化)で闘います。
◇無期転換権の行使、その後の正社員との差別の解消=労働条件の向上のため、団結権の行使=ユニオンの果たす役割は大きいということです。
00:55 有期雇用 | コメント(0) | トラックバック(0)

下町労働運動史 65

2017/01/01
下町ユニオンニュース 2017年1月号より

戦前の下町労働史 その二八    小 畑 精 武
 
 地下鉄争議・もぐらのうた・中

 警視庁が調停に入って解決した一九二八年、会社は労務対策として社内の相互扶助組織・茶話会をつくります。一九三〇年には市電の労働者が変装して「労働時間は六時間、最低賃金を二円にしろ」というガリ版ビラを改札に置いていきました。会社はあわてて「市電はストがある。ストをやる奴はバカだ。全線開通したら社宅も建てるからつまらない扇動にのらないように」と非番を集めて訓示を述べました。しかし、みんなはかえって、会社が儲けていること、ストを怖がっていることを知ったのです。

 全協オルグとの連絡
 一九三一年共産党の指導下にあった日本交通運輸労組のオルガナイザー永田耀は地下鉄の組織づくりを始めました。後に分会長になる津野勇の家を訪ね、職場の状況を聞きます。茶話会への不満から自分たちで委員を出して、目標を「スポーツ道具の購入費を会社は補助しろ」にします。同時に、うどん会ができていきます。うどん会は寄宿舎入寮者をうどんで歓迎する会が出発点です。徴兵制の軍隊から除隊したうどん好きな相良が参加していました。

バラバラな賃金
 軍隊から戻った運転手の相良の賃金は一円四〇銭が一円一五銭に下がっていました。
彼より後輩が一円三五銭と賃金は人によってバラバラだったのです。
三〇年九月の神田駅開通を目前に、浅草駅~万世橋駅往復を二五分から二〇分にする指示が出されます。そのためには、本勤務一四回を二〇回に、予備勤務十二~三回が十八回になり、労働強化です。「これでは身が持たない」と病人が続出、不満が高まっていきます。地下は日光がなく、湿気、ほこりが多く健康を害する労働者が増え、解雇も出ました。駅入り口の煙草売店には女性が十一時間労働で採用されたものの、経営がストアーに移され予告なしに解雇されました。
地下鉄争議記事
女子社員の採用、便所がない
浅草駅で地下鉄と東武鉄道が連絡する切符の販売が始まり、途中駅の小さなボックスで販売する女性社員を七人採用。労働時間は朝六時から夜十一時まで、翌日は休み。もう一人は朝九時から夜八時までの食事、休憩の交代係。「一日おきの仕事で休める」と思ったものの、ムッとした空気とガンガン響く電車の音の中、朝から夜中までの労働で体調を崩す労働者がでてきます。
さらに一日一円の給料が九〇銭しかありません。ストアーが七〇銭だから少し待ってくれとの会社の言い訳に声を出して反対はできなかったのです。便所が一つもなく松屋に駆け込み。とくに生理の時は大変でした。
 こうした職場環境の中には多くの「要求」がありました。寄宿舎にも「ガス、水道をつけて」「枕を一つずつ」「部屋を増やして」などの要求があり、室長をつくって交渉にあたり要求を順次獲得することができました。

  組合の結成
 一九三一年十二月、茶話会の役員選挙、うどん会の活動などの討議のために、津野は永田オルグと相談して、組合分会を十二名で結成します。分会責任者に津野、常任委員三人には運転手・車掌・駅員、会計など決め、共産党、共産青年同盟、赤色救援会の支持も全員で承認しています。
続いて女子分会が五人で発足、二人が地下鉄分会の常任になります。更衣室、休憩室が女子にない、一番切実な要求は便所問題です。基本的人権の問題です。売上金不足の時は弁償をしなければならない問題もあります。
職場のより多くの労働者が参加し日常活動をすすめる工場委員会の方針に沿って、地下鉄では従業員クラブを方針化します。同時に「大衆と結びつくサークル活動」を野球、映画、観劇、ピクニックにより進めました。
地下鉄大争議の始まりです。
(次号・下に続く)
【参考】 「もぐらのうた‐1932年東京地下鉄争議記録集」学習の友社一九八七年
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働くもののいのちと健康を守る労働行政を!東京労働局との交渉報告

2016/12/05
下町ユニオンニュース2016年132月号より

 11月1日(金)午後、九段合同庁舎の会議室で東京労働局との交渉を行いました。交渉には下町ユニオンをはじめ労働組合、NPO、被災者団体の仲間30名が参加しました。

■急増する建設現場での労災防止対策を

 東京では建設現場での死亡・重傷災害が増加しています。2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催や東日本大震災の工事も相まって技能労働者が不足し、労働災害の増加か懸念されます。昨年6月に東京労働局が実施した都内360の建設工事現場の一斉監督では、6割以上の226事業場に労働安全衛生法違反がありました。政府は今後、人手不足を外国人技能実習生や外国人就労者を活用して補おうとしています。昨年7月に安全衛生規則が改正され、建設工事現場での足場の組立て作業の特別教育の実施が義務付けられましたが、外国人労働者向けのものはありません。安全課に質問しても回答できませんでした。工事現場での墜落・転落は死亡災害に直結します。監督指導の強化とともに外国人労働者に対する安全教育の徹底を要請しました。

■長時間労働の削減と過労死防止対策を

 電通の髙橋まつりさんが過労とパワハラで自死に追い込まれました。企業責任はもとより国の長時間労働削減と過労死防止対策が厳しく問われています。
 交渉では時間外労働時間を1か月80時間ではなく45時間以内に削減すること、36協定の届出と「時間労働時間の上限基準」の遵守はもとより、「特別条項付き36協定」で事実上無制限に長時間労働を許容している実態を是正するために厳しい監督指導を求めました。
 監督課は長時間労働の削減が最重点課題であり、時間外労働を45時間以内になるよう事業所への監督指導を強化すると答えました。使用者に対し、1か月の時間外労働の上限規制と勤務間インターバル規制を法律で義務付けることが必要です。監督課は私たちの要請を本省に上申すると回答しました。
■介護労働者の結核・疥癬の感染症予防を

 今年、江戸川、亀戸、向島各労基署との交渉で、昨年度、結核感染による労災認定が2件、3件、6件、また疥癬が7件、0件、5件出ていることが分かりました。福祉施設の介護労働者の腰痛対策や感染症予防対策の徹底を要請しました。

東京労働安全衛生センター 飯田勝泰

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公開学習会 『安心して働き続けたい - 活かそう労働契約法!』 開催

2016/12/05
 例年11月にホットラインと合わせて公開学習会を開催しています。今年は10月27日、江戸川区タワーホール船堀で、日本労働弁護団事務局長の嶋﨑量(しまさき ちから)弁護士に講師をお願いして、労働契約法の有期労働契約に関する18条、19条、20条について学習しました。東京都労働相談情報センター亀戸事務所の助成を受けての共催です。
 18条は、同一使用者との間の有期労働契約を更新して通算5年の規約期間を超えると、無期契約転換の申込みができ、申込みをすれば使用者は申込みを承諾したものとみなす。転換後の労働条件は有期契約と同一の労働条件が原則。2013年4月1日以降に締結した有期労働契約からなので、1年を越える労働契約以外は2018年4月以降の契約更新時に無期転換申込権の行使ができるようになります。あくまで労働者からの申込みによるもので5年になれば自動的に無期契約にみなされるわけではありません。また規約期間が無期になるだけで、待遇が「正社員」と同じになるわけでもありません。その点に注意が必要です。
 経営者は違法、脱法的なやり方でこの無期転換をさせないようにすることが予想されます。気に入らない労働者に対しては5年になる前に「雇い止め」にしようとしてきます。
 例えば、「この契約で更新せず終了する」とした「不更新条項」を入れた契約書にサインを迫るなど考えられます。このような場合、まずその時点でユニオンに相談してもらう事が大事です。労働者側としては19条〈「雇い止め法理」の法定化〉で闘うことができますが、単純にその契約書に「サインしない」と言うだけではうまくいかないことが予測されるからです。。

2016-11労働契約法学習会

 こうした雇い止め対策や無期転換の申込みをするにしてもユニオンのサポートは重要です。また転換後の労働条件も原則は変わらないとなるとパートやアルバイトの低処遇が続くということになります。ここでも無期転換をして安定した雇用になってからの待遇改善をしていくためにユニオン(労働組合)の果たす役割は大きいです。
 20条は、有期労働契約を理由とした不合理な格差を禁止することを定めました。すでにフルタイムの有期雇用労働者が不合理な格差であると賃金の手当、賞与や退職金など正社員との差額の支払を求めて裁判がいくつか始まり地裁や高裁での判決も出てきています。こちらもユニオンの役割が重要です。
 労働契約法の周知と宣伝、職場の点検、有期雇用労働者は雇い止めの不安から一人ではなかなか闘えないのでユニオンがサポートすることが必要不可欠です。
 非正社員の割合は約4割になろうとしています。そのほとんどが有期雇用という雇用不安と差別的な低処遇にあります。労働契約法を活かして権利を守る運動を進めていきましょう。
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