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下町労働運動史39 戦前その2

2014/08/17
下町ユニオンニュース 2014年8/9月合併号より

戦前の下町労働史 その二
                                 小畑精武

  東京市従業員組合 
一九二六年十二月二五日、大正天皇が逝去、昭和天皇に代ります。この時東京市従業員組合はストライキに入ったのです。
 当時は都ではなく東京府東京市、そのもとに一五区があり、下町東部には深川区、本所区がありました。向島、亀戸や江戸川、葛飾などはまだ東京府南葛飾郡でした。
 戦前は身分制が根強く、市の職員(ホワイトカラー)には労働者意識はほとんどなく、現場の土木、清掃、水道、交通などの労働者が組合を組織していきました。一九一〇年代にようやく都市計画が立案され、道路行政がすすみ、清掃では一九一八年に塵芥処理の東京市直営化が一五区で完了。同時に市の従業員は関東大震災の復興事業も含め増加し、一九二八年には一六八〇〇人を超えました。

東京市従の結成・嘆願書提出 
一九二四年には東京市道路従業員組合が発足、その後清掃労働者や下水道処理労働者など現業労働者が加わり二六年には東京市従業員組合となります。同じころ東京市電従業員自治会も結成されています。発足時の役員(主事)大道憲二(後に委員長)は弾正橋支部(深川)で道路工夫の仕事をしていました。他にも四人の代表委員を出しています。

東京市従機関紙「街頭」から

組合には年寄りが多く、組合結成後、各支部で人員削減反対、歩増減額、職務傷害、組合圧迫などに取り組みました。当初本部は市に直接要求し闘争を組むことには慎重でした。ようやく一九二六年一月に一六項目の待遇改善嘆願書を提出します。(一部略)
一、 賃金三割値上げ
二、 退職手当制度の実施
三、 職務上の傷害に対する補償
四、 雨中作業廃止、防水服支給、箕笠廃止
五、 時間外労働三割以上の歩増
六、 完全な箱番設置、浴場の設置
七、 臨時工夫・臨時人夫の差別待遇撤廃
八、 臨時散水夫に解雇手当支給
九、 作業服の改良
十、 週休制の採用
十一、共済組合の設置と従業員管理
十二、市より低利資金の貸与
十三、年度更改期に解雇者を出さないこと

  人間扱いせよ! 
 この要求は「働いても働いても飯が食えない」長年の思い、人間扱いをしてほしいという思いが噴出したものです。当時土木、清掃など屋外労働者は工場法からも排除されていました。
 東京市従はストライキを避け、まず市との交渉と共に市民への宣伝ビラ一〇万枚をまきます。各支部は街頭で演説会を開き、深川四〇〇人、浅草七〇〇人などが参加。市議会議員への陳情も繰り返しました。
 五月になってようやく市は回答。作業服、雨具改善、箱番改善、浴場設置は認められたが、賃金引き上げは拒否回答、時間外割増、定期昇給や退職金などは改善の意志ありの回答で、九月に一旦集約されます。闘いの成果はわずかでしたが、組合員一五〇〇人が三〇〇〇人へ倍増。当局が企んだ第二組合づくりは粉砕されました。
 
天皇の死を利用した市と警察の弾圧
 警視総監だった市長は二六年十二月二四日から二五日にかけて五〇〇人の解雇を発表。組合員が四分の三を占め、大道委員長など活動家が多数含まれていました。組合はただちに争議団を結成、二六日にストライキ宣言、二七日からのスト指令を出します。市と警察は、二五日の大正天皇の死を最大限利用し「不敬行為」と決めつけてはげしい弾圧を強行。争議は惨敗に終わり組合員は激減。しかしその後、宣伝を強め下水処理場、自動車修理工場を組織して、再び三〇〇〇人を回復していきます。

 【参考】伊藤晃「日本労働組合評議会の研
究‐一九二〇年代労働運動の光芒」、社会評論社、二〇〇一)
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最低賃金、平均16円増 増税、物価高に追いつかず

2014/08/02

7月29日、厚生労働省の中央最低賃金審議会が今年度の最低賃金の引き上げの「目安」を全国平均で16円と答申しました。
現在の最賃平均は764円ですから780円へ、2.1%の増額です。消費税の増税で4月からの消費物価指数は3ヵ月連続で3%超えています。6月の実質賃金も前年同月比で3.8%の低下し、12ヵ月連続して下がっています。賃金上昇が消費税増税、物価高に追いつかず、労働者の生活は厳しさが増しています。「目安」を受けて地方審議会の議論が始まります。労働者の生活状況に合った引き上げが求めらます。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2014073002000125.html

東京新聞 TOKYO WEB

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【経済】

最低賃金、平均16円増 増税、物価高に追いつかず

2014年7月30日 朝刊

最低賃金の引き上げを求める人たち=29日、東京・霞が関で

写真

 厚生労働相の諮問機関である中央最低賃金審議会の小委員会は二十九日、二〇一四
年度の地域別最低賃金について、全国平均で時給十六円増の七百八十円とする目安を
まとめた。二桁の増加は三年連続で、増加幅は前年度実績の十五円を上回った。中央
審議会は同日、田村憲久厚労相に目安を答申した。

 各都道府県の上げ幅の目安は十三~十九円で、目安以上の引き上げが実施される見
通しだ。最低賃金で働いた場合の手取り収入が、生活保護を下回る逆転現象が起きて
いる五都道県すべてで逆転が解消する。全地域での解消は両者の比較を始めた〇八年
度以降で初めて。最低賃金はパートやアルバイトの時給などに影響する。景気回復に
よる雇用情勢改善が引き上げにつながった。ただ消費税増税などで物価が上昇してお
り、低所得者の暮らしがどの程度改善するか不透明だ。

 小委員会は、四十七都道府県を経済情勢などに応じてA-Dの四ランクに分けて上
げ幅の目安を提示。千葉、東京、神奈川などのAは十九円、茨城、栃木、埼玉、静岡
などのBは十五円、群馬などのCは十四円、高知などのDは十三円だった。

 目安答申を受け、都道府県ごとの地方審議会が議論し、各地の最低賃金が決まる。
目安を上回るか同額となるのが一般的だ。新たな額は十月ごろから適用される。

 小委員会では、労働組合側が消費税増税による物価高などを挙げ、前年度を上回る
増額を要求。経営者側は、地方の中小企業を中心に経営が苦しいとして、大幅アップ
に反対していた。

◆苦しい低所得者層

 最低賃金の引き上げの目安は、全国平均十六円の上げ幅で決着した。だが消費税増
税や物価高による実質賃金の目減りを補うにはほど遠く、低所得者層の生活は依然と
して苦しい。

 神奈川県茅ケ崎市のパート従業員の女性(34)はスーパーのレジ係として働きな
がら、小学校六年生から一年生まで五人の子どもを女手一つで育てている。時給は諸
手当込みで、神奈川県の最低賃金(八百六十八円)をようやく上回る九百五円だ。

 子育てと家事をこなしながら一日六時間、週五日働いても手取りは月約十三万円に
しかならない。「貯金はゼロ。この収入では子どもの将来どころか、目先一カ月のや
りくりしか考えられない」とため息をつく。

 四月の消費税増税や日用品の値上がりで、一回の買い物に掛かるお金が多くなった
と日々実感。市の医療費助成の対象にならない四人の子どもが風邪をひいても、病院
で受診させるのをためらってしまうのが実情だ。「収入はほとんど増えないのに物価
は上がっていく。アベノミクスで景気が良くなったという感覚は全然ない」と訴え
る。

 東日本大震災からの復興途上の仙台市でも現実は厳しい。勤続九年のタクシー運転
手の男性(58)は、同僚の約半数が「売り上げが少なくて最低賃金分の給料しかも
らえないか、必死で頑張っても最低賃金をぎりぎり上回る程度の収入しかない」と明
かす。一日平均で二万八千円程度あった売上高が消費税アップ後は三千円程度落ち込
み、「その分最低賃金の人も増えた」。

 「復興需要の恩恵を受けるのは大手ゼネコンなど県外企業ばかり。地場の中小企業
の景気が良くならないと、給料を上げるに上げられない」と指摘する。

 総務省によると、四月の消費税増税の影響で、消費者物価指数の前年同月と比べた
上昇率は、六月まで三カ月連続で3%を超えた。一方、目安通り引き上げても最低賃
金の上昇率(全国平均)は2%程度にとどまり、低所得者の所得の伸びが物価に追い
つかない。パートなど非正規労働者として働く人の割合は35%を超え、最低賃金や
それに近い水準で働く低所得者も少なくない。最低賃金を大幅に増やさなければ、働
く人全体の処遇改善にならない。

 <地域別最低賃金> 全ての働く人が企業から受け取れる賃金の最低額で、時給で
示す。都道府県ごとに決まり毎年度改定する。労使代表と有識者で構成する中央最低
賃金審議会が、厚生労働相の諮問を受け、夏ごろに引き上げ額の目安を答申。目安や
地域経済の実態を踏まえ、各地の審議会が金額を協議し、正式決定する。改定後の最
低賃金は10月ごろスタート。2008年施行の改正最低賃金法は「生活保護との整
合性に配慮する」と定めており、政府は最低賃金で働いた場合の手取り収入が、生活
保護費より高くなることを目指してきた。
14:31 最低賃金UP | コメント(0) | トラックバック(0)
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